この1~2年、様々な企業の人事部でAIの導入を検討されていることを見聞きします。今回の記事では、AI時代に何が人事部に必要なのか、実際の人事領域のAIツールのご紹介もしながら、理解を深めていただきたいと思います。
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多くの人事部が抱える課題
人事部は、給与計算、採用などの人材の確保、社員の教育や研修、またはその評価の管理など数多くの業務を行わなければ部署の1つであります。採用活動だけをみても、応募者の母集団などのマーケティング業務、継続的な採用ブランディング、面接の調整、オンボーディングなど、営業的な要素から事務的な要素まで多岐に渡る業務をカバーしなければなりません。そのような背景もあり、業務の効率性が低い人事部では過度な残業が状態化しているケースが多々みられます。
その一方で、AIなどのテクノロジーを活用したツールを積極的に導入し、業務効率をあげ、高いパフォーマンスを発揮している人事部もあります。本来、人事部は企業がビジネスを成立させる上で一番重要な人的リソースを増やし、生かすことがミッションであり、今後の人事部においては、革新性と効率化を意識した上で、本来のミッションを果たせる人事部が一層重要になってくるでしょう。
AIは人事業務のどこに活用できるのか
採用活動におけるAI活用ツール
書類選考
マイナビと三井総合研究所が共同に開発したプライオのようなツールは、書類選考の際に優秀な求職者のエントリーシートや履歴書をAIで認識することがで、自動で書類選考の可否の判断が可能になります。実際には、AIが最初の書類選考を行い、そこで最低限のスクリーニングを行い、それらを人事が判断するという形で使われているケースが多いようです。
面接
株式会社タレントアンドアセスメントが提供する対話型AI面接サービス「SHaiN」のは、受検者がスマートフォンを利用し、非対面・非接触で24時間365日どの場所でもAIと対話しながら面接できるサービスです。そして、企業側は評価レポートの結果などを参考に、対面の面接時には候補者ごとに適した質問をしたり、候補者の特徴に合わせた動機づけをしたりすることで、内定辞退防止、入社後の人材配置や育成などに生かすこともできるそうです。
SHaiNは、「遠隔地受検者への受検機会の提供」、「戦略採用メソッドに基づいた評価基準の統一」、「採用担当者や面接官の面接工数の削減」といった部分が評価されており、2020年7月20日の時点で、200社以上の企業が利用しているそうです。
参考:
AI面接サービスSHaiN 導入企業 200社を突破/PR Times
社員評価におけるAI活用ツール
株式会社ヒトラボジェイピーが提供するAIを活用した人材評価ツール「マシンアセスメント」は、アセスメントにかける時間と費用が大幅に削減され、どの社員に投資すべきか? どの社員を昇進させるか?など、企業におけるタレント人材の発掘、育成、選抜のスピードが格段に上がり、均質な基準での評価判断ができるようです。
ヒトラボジェイピー社は、これまで約1万人の人材の評価、発掘、育成のアセスメントを行ってきており、そのアセスメントノウハウをAIに学習させ、成果を記した文章から該当者が持つビジネスコンピテンシーを自然言語処理技術を用い30余種類に分析、可視化を可能にしたそうです。
事前にAIにハイパフォーマーの行動特性を学ばせているため、現場のしがらみのない状況で、市場競争力という観点から“均質な基準”で評価し、ポテンシャル人材、タレント人材の発掘を行うことができるようです。
参考:
人材評価もAIが代替する時代に。評価ツール「マシンアセスメント」は進化するHR Techに新たな地位を築けるか
AI時代の人事はどうであるべきか
上記で紹介したAIが活躍している分野で共通しているものは、人事に今まで多くの時間が必要となっていた業務をAIが自動的に行うことによって、その作業に使っていた時間を他の業務に使えるようにしていることです。
つまり、AIが仕事を全て行うものはなく、あくまで人事が自分の仕事を効率よく行うために使われています。では、AI技術の発達がはやいこの時代に人事部に要求されるスキルはどういったものなのでしょうか。
判断力のあるチャレンジャー
なぜ人事はチャレンジャーである必要があるのか?
それは、様々なAIツールがある中で、自社にメリットが高いものを判断し、その技術に恐れず、業務効率の向上や優秀な人材の確保に積極的に使用することが重要です。ただ単に多くのツールを試せばいいことではなく、人事がAIツールに具体的な役割・目的・目標を決めることがAIx人事の一番重要な部分です。
まとめ
人事とAIを合わせることによって、業務効率の向上や優秀な人材の確保は容易になりますが、その代わり人事部に技術を使いこなせる力だけではなく、人間らしいスキルが以前よりもさらに求められている時代になるのではないでしょうか。
自社の更なる成長のために、現在の人事業務の課題を洗い出し、整理を行なった上で、AIツールの導入を試してみてはいかがでしょうか。