日本での就職・転職を成功させたい外国人エンジニアにとって、「履歴書(Rirekisho)」と「職務経歴書(Shokumu-keirekisho)」の準備は避けて通れません。
「日本の履歴書はフォーマットが厳しくて面倒だ」と感じていませんか?しかし、この書類は単なる手続きではありません。あなたの技術力を正当に評価させ、年収交渉を有利に進めるための重要な「武器」になります。
この記事では、日本のIT・メーカー企業へ数多くのエンジニアを紹介してきたG Talentが、以下のポイントを解説します。
- IT・機電エンジニア特化: 採用担当者が見ている評価ポイント
- 無料テンプレート: そのまま使えるExcelフォーマット
- 日本独自の給与事情: ボーナスやみなし残業の仕組みと、年収の上げ方
日本語の敬語や形式への不安を解消し、あなたのスキルに見合ったキャリアを手に入れましょう。
Contents
なぜ日本でのエンジニア転職に「日本式の履歴書」が必要なのか
技術力だけでは不十分?日本企業が重視する「信頼性」
日本の採用現場において、GitHubのリポジトリやポートフォリオが重要であることは間違いありません。しかし、それらはあくまで「技術力(Hard Skills)」の証明です。
日本の企業、特に大手メーカーやSIer(システムインテグレーター)は、技術と同じくらい「信頼性」と「定着性」を重視します。「日本のビジネス習慣に適応できるか?」「長期的に働いてくれるか?」という懸念を払拭するのが、正しくフォーマットされた履歴書(Rirekisho)の役割です。形式を守ることは、単なるマナーではなく、「私は日本のビジネスカルチャーを理解し、尊重しています」という強力なメッセージになります。
ITだけでなく「機電(メカ・エレキ)」エンジニアの需要が急増中
昨今、日本市場ではWEB・ソフトウェアエンジニアだけでなく、機電(メカニカル・エレクトリカル)エンジニアの需要が急増しています。ロボティクス、自動車、半導体製造装置などの分野で世界をリードする日本のメーカーは、グローバルな知見を持つエンジニアを求めています。
こうした伝統ある企業ほど、きちんとした書類選考を重視する傾向があります。正しい履歴書を用意することは、世界的な日本メーカーへのキャリアパスを開く第一歩です。
【違いを解説】履歴書と職務経歴書の役割
欧米では「Resume」や「CV」一つで済むことが多いですが、日本では役割の異なる2つの書類が必要です。
1. 履歴書(Rirekisho)= あなたの「人柄と信頼」を証明する
- 目的: 基本的なプロフィール確認
- 内容: 氏名、住所、学歴、職歴(期間と社名のみ)、資格
- フォーマット: JIS規格などの定型フォーマット(ほぼ固定)
2. 職務経歴書(Shokumu-keirekisho)= あなたの「技術と実績」を証明する
- 目的: 技術スキルのアピール
- 内容: プロジェクト詳細、開発環境(言語・フレームワーク・OS)、チーム規模、担当工程
- フォーマット: 自由形式(エンジニア特有の書き方がある)エンジニアにとって、職務経歴書はコード(Code)を証明する場所であり、履歴書は人格(Character)を証明する場所だと考えてください。
※職務経歴書の書き方については、こちらの記事を参照してください。
【Excel無料ダウンロード】エンジニア用・履歴書テンプレート
まずは、以下のボタンから標準的な履歴書のフォーマットをダウンロードしてください。パソコンで編集しやすいExcel形式です。
フォーマットをダウンロードrirekisho_format.xlsx – 31 KB
※Excel形式のフォーマットになります。
Pro Tip: 履歴書を作成したら、PCの中に眠らせておくのはもったいないです。「GitTap(ギットタップ)」 は、日本で働きたい外国人ITエンジニアに特化したスカウト型転職プラットフォームです。作成したプロフィールや書類をGitTapにアップロードしておけば、日本のテック企業から直接スカウト(面接オファー)が届く可能性があります。
採用率を上げる!外国人エンジニアのための履歴書の書き方
ここからは、ダウンロードしたテンプレートを使って、各項目の書き方を解説します。
1. 基本情報(Basic Information)

- 氏名(Name): 在留カードやパスポートの表記通りに記入します。採用担当者が読みやすいよう、カタカナでのフリガナも必ず付けましょう。
- 写真(Photo): 日本では写真が必須です。自撮り(Selfie)は絶対にNGです。清潔感のあるシャツやジャケットを着用し、無背景の場所で撮影した写真を使いましょう。IT企業やスタートアップではカジュアルでも許容されますが、「清潔感」は必須です。
- 住所・連絡先: 日本在住の場合は現在の住所を都道府県から記入します。
- ビザ(在留資格): 備考欄などに、現在のビザの種類(例:技術・人文知識・国際業務)と在留期限を明記しておくと、採用担当者が安心します。
2. 学歴・職歴(Education & Work History)

このセクションは時系列の「タイムライン」です。
- 学歴: 原則として高校卒業以降の履歴を記入します。
- 職歴: 入社・退社の年月を正確に記入します。
※エンジニアの場合、ここで細かい技術スタックを書く必要はありません(それは職務経歴書に書きます)。「会社名」「所属部署(開発部など)」「入社・退社」をシンプルに記載してください。
- 空白期間(Gaps): 職歴に空白期間がある場合、面接で必ず突っ込まれます。留学や語学学習など、ポジティブな理由があれば準備しておきましょう。
3. 免許・資格(Licenses & Qualifications)

- 語学資格: 日本語能力試験(JLPT N1〜N5)、TOEIC、TOEFLなどのスコアと取得年月を記入します。
- 技術資格(IT): AWS認定(Solutions Architectなど)、Google Cloud認定、Cisco(CCNA/CCNP)、Salesforce認定資格、PMPなど。
- 技術資格(機電・ハードウェア): 自動車整備士、機械設計技術者試験、CAD利用技術者試験、電気主任技術者など。
※母国で取得した資格でも、関連性が高ければ記入しましょう。その際、カッコ書きで(Equivalent to [Japanese License Name])と補足すると親切です。
ポイント: 資格名称は必ず「正式名称」で記入してください。略称(例:AWS SAA)ではなく、正式名(AWS Certified Solutions Architect – Associate)を書くことで、プロフェッショナルな印象を与えます。
4. 志望動機・本人希望欄(Motivation & Requests)


- 志望動機: 履歴書のスペースは限られています。「なぜ日本なのか」「なぜその会社なのか」を簡潔に2〜3行でまとめましょう。詳細なアピールは職務経歴書や面接で行います。
- 通勤時間: 日本在住の場合は記入します。海外在住の場合は空欄または「N/A」で構いません。
- 本人希望記入欄: 原則として、ここには「貴社規定に従います(I will comply with your company regulations)」と記入するのが日本のビジネスマナーです。給与や待遇への具体的な希望(「年収800万円以上希望」など)をここに書いてしまうと、「扱いにくい候補者」と思われるリスクがあります。条件交渉は、内定直前またはエージェントを通じて行うのが鉄則です。
※ただし、「ビザの関係で完全リモートワークが必要」など、どうしても譲れない条件がある場合は記載しても構いません。
あなたの市場価値はもっと高いかもしれません
履歴書の準備ができたら、次は企業選びです。「自分のスキルで、日本企業ならいくら貰えるのか?」気になりませんか?
【選択肢1:企業からスカウトを受け取る】
GitTap(ギットタップ) にプロフィールを登録しておけば、あなたの履歴書を見た企業のCTOや採用担当者から直接オファーが届きます。まずは登録して、市場の反応を見てみましょう。
【選択肢2:プロに相談して高待遇を狙う】
一般の求人サイトには載っていない「非公開求人」や、ハイクラスな案件を探すなら、GTalent のコンサルタントにご相談ください。あなたの希望に合った企業を厳選してご紹介します。
【重要】日本の給与システムと年収交渉の真実
日本で働く際、多くの外国人エンジニアが戸惑うのが独自の「給与システム」です。ここを理解していないと、オファー金額を見て「思ったより低い」と誤解したり、損をしてしまうことがあります。
1. 月給だけではない?「ボーナス」と「理論年収」
日本の正社員の給与は、多くの場合「月給(Monthly Salary)× 12ヶ月」だけではありません。夏と冬の「ボーナス(賞与)」が含まれるケースが一般的です。
例: 月給40万円でも、ボーナスが年間4ヶ月分あれば、年収は640万円(40万×16)になります。求人票を見る際は、月給だけでなく「想定年収(Theoretical Annual Income)」を確認することが重要です。
2. 「みなし残業代(Fixed Overtime Pay)」とは
IT企業でよく見られる制度です。例えば「月給に40時間分の残業代を含む」とある場合、40時間以内の残業であれば追加の支払いは発生しません(給与に含まれているため)。これは「サービス残業(無賃労働)」とは異なり、合法的な制度です。しかし、40時間を超えた分は追加で支払われる契約になっているか、必ず確認しましょう。
3. エージェント経由の方が年収交渉しやすい理由
日本の文化では、候補者が直接企業に対して「給与を上げてください」と強く主張することは、場合によってはマイナスな印象(協調性がない等)を与えるリスクがあります。転職エージェント(G Talent)を利用する最大のメリットは、「あなたの代わりにプロが年収交渉を行える」ことです。「この候補者は他社から○○万円のオファーが出ています」といった客観的な事実に基づき、角を立てずに好条件を引き出すことが可能です。
よくある間違い(Common Mistakes)
優秀なエンジニアでも、書類の些細なミスで「日本語力が低い」「注意力が散漫」と判断されてしまうことがあります。以下の3点に注意してください。
1.西暦と和暦の混在
日本には「令和(Reiwa)」などの和暦と、西暦(2025年など)があります。履歴書の中ではどちらかに統一しましょう。外国人エンジニアの場合は、間違いの少ない西暦(2025年など)で統一することをおすすめします。
2.パソコン作成 vs 手書き
かつて日本は手書き文化でしたが、現在はIT・機電エンジニアであればパソコン(Excel/Word/PDF)作成が推奨されます。PCで作成することで、基本的なITリテラシーや効率性をアピールできます。
3.証明写真のクオリティ
繰り返しになりますが、スナップ写真や自撮りの切り抜きは避けてください。証明写真アプリを使って背景を白や青にするか、駅にある証明写真機を利用しましょう。
まとめ:書類選考を突破して理想のキャリアへ
日本の履歴書(Rirekisho)は、形式が多く面倒に感じるかもしれません。しかし、これはあなたが日本のテック業界、あるいは世界に誇る日本のものづくり産業で活躍するための「パスポート」です。
正しい書き方をマスターし、テンプレートを活用すれば、決して難しいものではありません。準備が整ったら、次のステップへ進みましょう。
「待ち」の転職活動: GitTap に履歴書をアップロードして、企業からのスカウトを待つ。
「攻め」の転職活動: G Talent に登録して、非公開求人の紹介や、年収・ビザの相談をする。
あなたの日本でのエンジニアキャリアが、素晴らしいものになることを応援しています。







