近年、日本では働き方改革が加速しています。これまでの日本の働き方といえば、「終身雇用」や「1日8時間労働」が当たり前でした。しかし、生産性の低さやグローバル化の遅れといった課題が指摘され、これを是正するための働き方改革が加速中です。この記事では、これまでの日本の働き方とそこから見えたこれからの課題、必要となる働き方改革の中身、そして改革のデメリット・リスクを解説していきます。
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Contents
これまでの日本の働き方
これまでの日本の働き方と言えば、以下の3つが定番でした。
- 終身雇用
- 1日8時間労働
- 週休2日制
まずは、これまで日本で常識とされてきた働き方の基本を整理しましょう。
これまでの日本の代表的な働き方①|終身雇用
終身雇用とは、企業が正規採用した人材を定年まで雇用する制度です。定年までの雇用が保証されるため、従業員は退職するまで安定した収入を得られます。一方で競争原理が働きにくく若く優秀な社員が十分に活躍できないため、生産性が低くなりがちな点がデメリットです。
参考:終身雇用制度の現状(メリット・デメリット)から見る人事制度と、これからの在り方について/ライフワークス
これまでの日本の代表的な働き方②|1日8時間労働
日本では、労働基準法により1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけないと定められています。ただし、労働組合が定める「時間外労働協定」によっては法定の労働時間を超える時間外労働が認められているため、1日8時間以上働かなければいけない企業も少なくありません。
これまでの日本の代表的な働き方③|週休2日制
日本では1週間に2日の休日が与えられるのが一般的であり、基本的に土曜日と日曜日が休みの企業が多いです。週休2日制には「完全週休2日制」と「週休2日制」の2種類があります。完全週休2日制は毎週必ず2日間の休暇が与えられますが、週休2日制は毎月1回以上2日間の休暇を与える制度となるため要注意です。
参考:「週休二日制」と「完全週休二日制」って違うの?ポイントを解説/はたらくぞドットコム
これまでの日本の働き方で見えた課題
上記で紹介したこれまでの日本の働き方では、以下のような課題が見える化しました。
- 生産性の低さ
- 拘束時間の長さ
- 有給取得率の低さ
- 人手不足
- 待遇の格差
- グローバル化の遅れ
これまでの日本の働き方の課題①|生産性の低さ
日本のこれまでの働き方で特に大きな課題の一つが、生産性の低さです。公益財団法人日本生産性本部の報告によると、2020年度における日本の労働生産性はOECD加盟国38ヶ国中23位でした。これは同1位のアイルランドと比べて4割程度でしかありません。特に終身雇用制度は生産性の低い社員を雇用し続ける必要があるため、このような生産性の低さにつながっていると予想できます。
参考:国際的にみた日本の時間当たり労働生産性/公益財団法人日本生産性本部
これまでの日本の働き方の課題②|拘束時間の長さ
休日出勤のある職場や残業時間が長い職場の場合、自然と拘束時間が延びてしまいます。これが原因で過労死が発生するケースもたびたび見られ、遺族と企業が裁判で争うケースも珍しくありません。拘束時間が長いと企業への貢献度も低下してしまいます。効率よく働くためにも、長すぎる拘束時間は大きな問題の一つです。
これまでの日本の働き方の課題③|有給取得率の低さ
日本の企業に勤める多くの人は、有給を取得していないことでも有名です。大手旅行会社が2019年に行った統計では、日本の有給取得率は50%であり、アンケートの対象となった19ヶ国のうち最下位でした。なお、同調査によるドイツやスペイン、シンガポールの有給取得率は100%です。有給休暇を取れないと、プライベートを謳歌したり仕事から離れてリフレッシュしたりすることができません。適度な休暇は効率的な働き方に欠かせないもののため、有給取得率の低さも日本企業の課題だと言えます。
参考:なぜ日本が最下位?上司の理解、人手不足…「有給取得」世界19カ国比較/TRiP EDiTOR
これまでの日本の働き方の課題④|人手不足
少子高齢化が進む日本では、多くの企業が人手不足の問題に直面しています。最近ではDX推進も人手不足を加速させる原因になっています。システム開発は専門性の高い仕事であることから、IT業界では高いスキルを持つ人材の確保に苦労しているのです。
参考:人手不足が深刻化する日本|現状と原因、企業が実施したい6つの対策/人材アセスメントラボ
これまでの日本の働き方の課題⑤|待遇の格差
日本企業では、金銭面をはじめとする待遇の格差も見逃せません。特に男女間の格差は深刻で、欧米諸国における男女間の賃金格差が10%台であることに対して日本の男女の賃金格差は24.5%と高い水準です。また、正規雇用者と非正規雇用者の間にも大きな待遇の格差があります。
参考:「世界でワースト2位」日本の男女賃金格差が全然埋まらない理由2つ/PRESIDENT online
これまでの日本の働き方の課題⑥|グローバル化の遅れ
グローバル化を行うことで新たなビジネスを生み出すチャンスやコスト削減の可能性を増やせますが、多くの日本企業はグローバル化に遅れています。JETRO(日本貿易振興機構)によると、海外に拠点を持つ日本の企業は約35%で、過半数を大きく下回りました。これから日本の人口はさらに減少すると言われているため、企業の成長のためにもこれからはグローバル化が欠かせません。
これからの日本ではどのような働き方改革が求められる?
上記で紹介した課題を解消するために、これからの日本では以下のような働き方改革が求められています。
- これからの日本の働き方改革①労働時間の短縮化
- これからの日本の働き方改革②ワークスタイルの多様化
- これからの日本の働き方改革③女性やシニア層の就業安定化
- これからの日本の働き方改革④非正規雇用者への待遇の改善
- これからの日本の働き方改革⑤転職や副業の一般化
- これからの日本の働き方改革⑥海外人材やノウハウの積極的な受け入れ
それぞれの項目をわかりやすく解説しましょう。
これからの日本の働き方改革①|労働時間の短縮化
労働時間の短縮化により社員が集中しやすい環境を構築できるため、生産性の向上を図れることがメリットです。労働時間が減れば、社員はプライベートの時間をさらに増やせます。これが仕事へのモチベーションにもつながり、労働の相乗効果が期待できるでしょう。
参考:労働時間の短縮によるチーム生産性の向上/独立行政法人経済産業研究所
これからの日本の働き方改革②|働き方の多様化
フレックス制の導入やフリーアドレスの採用など、働き方の多様化が企業に求められています。コロナ禍ではテレワークやリモートワークも注目を浴びました。オフィス外でも働ける職場であれば、海外を含む遠方に住んでいる人でも働きやすくなります。
さらに、ワークとバケーションを掛け合わせた「ワーケーション」という考え方も浸透しつつあります。ワーケーションを導入することで有給休暇と組み合わせた働き方がしやすくなり、従業員の満足度も向上するでしょう。採用活動ではアピールポイントにもなり、優秀な人材を集めやすくなる効果もあります。
参考:ワーケーションとは?基礎知識や事例、導入のポイントをご紹介!/ワークフロー総研
これからの日本の働き方改革③|女性やシニア層の就業安定化
日本の企業は、男女の平等性に欠けると指摘されています。出産・育児に対するサポートを行ったり実力のある女性を管理職に据えたりすることで、自社が持つ人材のポテンシャルを最大限に活かせるでしょう。これからは少子高齢化に伴いシニア層の割合も増えるため、シニア層を有効活用することも重要な課題です。
参考:女性の管理職昇進意欲を高める鍵は「管理職への両立支援」/パーソル総合研究所
これからの日本の働き方改革④|非正規雇用者への待遇の改善
契約社員や派遣社員、アルバイト・パートといった非正規雇用者への待遇の改善も求められています。非正規雇用者の待遇が悪いままでは、経済的不安から結婚・出産へ踏み切れない人が増え少子高齢化はさらに加速するでしょう。優秀な人材に正当な評価を下すことで非正規雇用者のモチベーションが上がり、生産性が向上するとも考えられます。
参考:非正規雇用とは?特徴を分かりやすく解説!デメリット・メリットを紹介/キャリチェン
これからの日本の働き方改革⑤|転職や副業の一般化
これまでの日本企業で常識だった終身雇用・年功序列の文化では、競争原理が働かず生産性の向上につながりませんでした。かつての常識を改め転職を一般化させることで、キャリアアップがしやすくなります。これにより企業は質の高い人材を確保しやすく、従業員は待遇を向上させやすくなるでしょう。
また、最近では副業を解禁する企業も増えています。「老後2,000万円問題」も話題になりましたが、日本に住む多くの人は将来や老後にお金の不安を抱えているはずです。必然的に副業ができる環境を求める人材は多く、こういった要望に応える柔軟性も求められています。
これからの日本の働き方改革⑥|海外からの人材・ノウハウの積極的な受け入れ
特にIT分野において日本は大きく出遅れています。これから遅れを取り戻すためには、IT先進国で実戦経験を重ねた人材や専門的な教育を受けた人材を積極的に受け入れなければなりません。日本人と外国人がタッグを組んで働くグローバルな環境を備えた企業は、成功・成長を見込みやすいと言えます。
参考:27カ国中最下位…日本がIT人材足りない根本理由/東洋経済オンライン
コロナ禍で日本の働き方には大きな変革をもたらした
新型コロナウイルスによって、日本での働き方には以下のようなさまざまな変化が起こりました。
コロナ前 | コロナ後 | |
働き方 | 出社 | 在宅勤務 |
労働時間 | タイムカードによる管理 | ITシステムの導入 |
会議 | 現場 | オンライン |
コロナによる変化は決して嬉しいきっかけとは言えませんが、前向きに捉えればコロナが日本企業の働き方・考え方を前進させたとも考えられるのです。アフターコロナにおいて方針を大きく転換させた日本企業は多く、日本文化への適応に不安を抱えている外国人の方も働きやすい環境が整いつつあります。
これからの働き方にはデメリットやリスクもある
働き方改革によって改善されるこれからの働き方は、良い点だけではありません。これからの働き方のデメリットやリスクは、以下の通りです。
- これからの働き方のリスク①コストの増加
- これからの働き方のリスク②管理にかかる負担の増加
- これからの働き方のリスク③コミュニケーションの希薄化
これからの働き方のリスク①|コストの増加
働き方改革により、コストが増加する可能性があります。たとえば退勤管理システムをはじめとするITツールを導入する場合、導入費や教育費の支出を見込まなければなりません。先進的な企業へ進化を遂げる第一歩として、一定の金額を投資する必要があるのです。
参考:働き方改革6つの課題とは?4つの解決策まで徹底解説/PROFFIT
これからの働き方のリスク②|管理にかかる負担の増加
働き方改革により、管理職にかかる負担が増加したとの声も聞かれます。たとえばワークスタイルの多様化に伴い部下が働く場所が散らばってしまうと、勤怠管理に手間がかかりやすくなるでしょう。有給取得率が上がることが原因で、管理職に仕事のしわ寄せが行くかもしれません。
特に「高度プロフェッショナル制度」を使って働く人の場合、労働時間や休日などの規定から除外されるため裁量労働制に近い形で働く必要も生じます。このような負担増に備えるためには、アウトソーシングの適度な活用や管理職未満のスタッフにより多くの裁量を与えるなどの対策が必要です。
参考:働き方改革で管理職の負担増?しわ寄せを防ぐための取り組みとは?/ワークスタイル情報空間
これからの働き方のリスク③|コミュニケーションの希薄化
テレワークが増えることにより、コミュニケーションが希薄化することも考えられます。いわゆる「飲みニケーション」の機会が失われたことを憂慮する人がいることも事実です。一方で、日本人の若い世代には仕事とプライベートを切り離して考える人が増えており、こういった世代からはコミュニケーションの希薄化はむしろ受け入れられやすいかもしれません。
これからの日本では時代の変化にあわせた働き方改革が求められる
これまでの日本の働き方は「終身雇用」や「1日8時間労働」が主流でしたが、生産性の低さや拘束時間の長さなどが問題になりました。これに伴い働き方改革を進める企業が多く、日本独自の悪しき文化は姿を消しつつあります。海外で育った方や外国人にとっても、これからの日本企業は働きやすい職場になるでしょう。
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