日本のIT企業でプロジェクトマネージャーとして活躍するためには、日本でよくあるプロジェクト管理のやり方に慣れておく必要があります。日本でよくある仕事のやり方を知っておくとプロジェクトに参加しやすくなるため、あらかじめ流れややり方を知っておきましょう。
本記事では、日本のIT企業でよくあるプロジェクト管理のやり方やよく使われる手法、日本でプロジェクト管理を成功させるためのコツについて解説していきます。日本でプロジェクト管理の仕事を行い高い方は、IT系のグローバル企業が集まる転職エージェント『G Talent』をご利用ください。
Contents
プロジェクト管理とは
IT企業におけるプロジェクト管理において、管理する対象は以下が挙げられます。
- 予算
- スケジュール・タスク
- プロジェクトメンバーの勤怠
- 課題
- システムの品質
プロジェクトマネージャーはプロジェクトの予算やスケジュール、メンバーの管理を行うだけでなく、プロジェクトの課題やシステム品質なども管理します。あらゆる面でプロジェクトを適切に管理し成功に導くのが、プロジェクトマネージャーの主な役割です。
日本企業でよくあるプロジェクト管理の流れ・やり方
日本企業でよくあるプロジェクト管理のやり方、流れについて紹介していきます。全体の流れをおさえておくことで、プロジェクト管理者になった際にスムーズに対応できるでしょう。
- 日本でよくあるプロジェクト管理の流れ・やり方①|準備
- 日本でよくあるプロジェクト管理の流れ・やり方②|計画
- 日本でよくあるプロジェクト管理の流れ・やり方③|管理
- 日本でよくあるプロジェクト管理の流れ・やり方④|クローズ
日本でよくあるプロジェクト管理の流れ・やり方①|準備
プロジェクト管理を行う際は、納期、予算、プロジェクトのゴールなどを確認する事前準備が欠かせません。プロジェクトの課題やタスクを洗い出し、課題の難易度はどれくらいか、問題解決までにどれくらいかかりそうか、タスクの性質や難易度、必要な人員のスキルレベルなどを見極めます。過去の経験やスキルがないと難易度や課題の見極めが難しいため、必要に応じて有識者や経験者に適切なやり方や意見を求めることも大事です。
参考:【新人PM必見】プロジェクト管理の方法とコツ/Lychee Redmine
日本でよくあるプロジェクト管理の流れ・やり方②|計画
課題やタスクの洗い出しと精査が終わったら、納期から逆算してスケジュールを立てます。きちんとしたプロジェクト管理を行う場合、無理なく作業を完了させられるスケジュールを組む必要があります。
スケジュールと同時に、必要なリソース、人員はどれくらいか、割り当てる人員のスキルレベルはどの程度必要なのかを見極めることも大切です。人員が足りずスケジュールが予定内に終わらない場合は、他部署と調整して必要な人員を回してもらうなどの調整も必要です。後進の育成も計画に入れる場合は、誰と誰を組ませるか、誰を教育係にするのかなども考慮する必要があります。
参考:プロジェクト管理に必要な項目と成功のポイントとは?/NotePM
日本でよくあるプロジェクト管理の流れ・やり方③|管理
スケジュールが決まり必要なリソースが集まったら、プロジェクトを始動させプロジェクト管理者としてプロジェクト全体を管理していきます。プロジェクトが始まった後は定例の進捗会議でメンバーから進捗報告を受け、やり方や結果などに問題点が発生した場合は速やかに報告してもらうことも必要です。
製造やテストが始まり逐次報告を受ける場合は、進捗会議で毎日製造やテストの進捗状況やバグ発生数などについて報告を受けることもあります。進捗報告以外にもプロジェクトメンバーと密にコミュニケーションを取り合い、ちょっとしたことでもすぐに相談できる状況にしておくことが大切です。
多くのプロジェクトにおいて、何らかのトラブルが起きるのがよくあるケースです。プロジェクト管理者が常に状況を把握して、問題が発生したら早めに対処できる体制を整えておく必要があります。
参考:進捗会議で何を話すのか/サル先生のプロジェクト管理入門
日本でよくあるプロジェクト管理の流れ・やり方④|クローズ
納品が終わりスケジュールの行程がすべて完了したら、クローズ作業を行います。クローズ作業とは、プロジェクトの内容や結果を振り返り次へつなげるための情報をまとめる作業です。当初の計画と乖離した部分はないか、なぜ乖離したのか、うまくいったこと、うまくいかなかったことをまとめてその原因を分析を行います。次のプロジェクトのためにも、反省すべき部分や次に活かしたい部分をまとめることが求められます。
参考:プロジェクトや工程終了時に行う7つのポイント – プロジェクト・フェーズ終結/プロマネ研究室
日本でよくあるプロジェクト管理のやり方
ここからは、日本企業でよくあるプロジェクト管理の具体的なやり方について紹介します。今回紹介するやり方に慣れておくことで、初めて日本企業でプロジェクト管理を行う際に戸惑う可能性を減らすことができます。
- 日本でよくあるプロジェクト管理のやり方①|ガントチャート
- 日本でよくあるプロジェクト管理のやり方②|WBS(作業分解構成図)
- 日本でよくあるプロジェクト管理のやり方③|CCPM
- 日本でよくあるプロジェクト管理のやり方④|ウォーターフォール開発
- 日本でよくあるプロジェクト管理のやり方⑤|PERT図
- 日本でよくあるプロジェクト管理のやり方⑥|アジャイル開発
日本でよくあるプロジェクト管理のやり方①|ガントチャート
ガントチャートはもっとも古くから利用されているプロジェクト管理のやり方です。Excelのようなフォーマットで管理し、上の行から順番にタスクを並べていき列が右に進むごとに日数が経過します。
タスクごとにバーが設定され、左端がタスクの開始日で右端がタスクの完了日です。上下のバーは上側が予定で下側が実績と分かれており、進捗が進むとともに実績が埋まります。
タスクが階段状になっており、予定と進捗状況がどれだけ乖離しているかが一目でわかるのが特徴です。ただし、タスクごとの関係性がわかりにくい、大幅なスケジュール変更に対応しづらいといったデメリットがあります。
日本でよくあるプロジェクト管理のやり方②|WBS(作業分解構成図)
WBS(作業分解構成図)は、作業を細かいタスクに分解して洗い出しスケジュールを立てるやり方です。たとえばテスト工程では、観点の設定、項目洗い出し、レビューやテスト環境の準備、テストデータの作成、テストの実施、結果のチェックなどが必要です。必要なタスクの洗い出しが終わったら、タスクのスケジュールを決めて実施していきます。
このやり方を活用することで、ゴールに向かって何をすべきか、どれくらいの作業が発生するかを洗い出せます。ただし、主観的になりやすいことやタスクの分解が難しいなどのデメリットも挙げれます。
参考:WBS(作業分解構造図)とは?ガントチャートとの違いや作り方を基礎から解説/マイナビクリエイター
日本でよくあるプロジェクト管理のやり方③|CCPM
クリティカル・チェーン・プロジェクト・マネジメントと呼ばれるこのやり方は大規模プロジェクトでよく使われ、タスクや予算を最低限におさえてスケジュールのバッファを取るやり方です。
仕事の期限が決められると、人はその期限ぎりぎりまで仕事をしないケースがよくあると言われているため、本当の期限ではなくバッファを持たせた期限を設定することで無駄をなくしてスケジュールを短縮できます。ただし、経験がない管理者がこのやり方を使うとバッファを取り過ぎて無理のあるスケジュールになってしまうことがあるため、経験豊かな管理者向けのやり方です。
参考:CCPM(クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント)とは?大型プロジェクトにはCCPMを取り入れよう/株式会社システムイングレータ
日本でよくあるプロジェクト管理のやり方④|ウォーターフォール開発
ウォーターフォール開発とは水が流れていくように工程を順番に並べていくやり方のことで、古くから利用されています。たとえば、要件定義、外部設計、内部設計、製造、テスト、納品、運用といった、プロジェクトの流れでスケジュールを立てます。
ウォーターフォール開発が使われやすいのは、ほぼスケジュールの流れや作業内容が変わらない大規模プロジェクトの場合です。機能追加が何度も行われる大規模システムの場合、プロジェクトの工程はほとんど変わりません。作業工程が確立していればスケジュールを立てやすく、安定してプロジェクトを進められます。
ただし、スケジュールを変更しにくい、大きな問題が発生すると計画が狂う、短期間のプロジェクトなどには、適用しにくいという面もあります。
参考:ウォーターフォール開発とは?メリットとデメリットを解説。ほかの開発手法も紹介!/発注ラウンジ
日本でよくあるプロジェクト管理のやり方⑤|PERT図
PERT図とは、プロジェクト内のタスクや作業の順序関係を表したものです。PERT図にはタスク、作業時間、作業開始日、作業終了日が記載されており、それぞれのタスクの順序関係が矢印で表されています。AとBの作業後にCに着手できる、DとCの作業に順序性はないが、EはCが終わらないと着手できないなど、作業順序が複雑な場合に適しています。
参考:PERT 図とは?仕組みや作成方法を徹底解説/asana
日本でよくあるプロジェクト管理のやり方⑥|アジャイル開発
アジャイル開発とは、「イテレーション」と呼ばれる短い期間で工程を繰り返すやり方のプロジェクト管理です。最初から全体の工程が決まっているウォーターフォール開発とは真逆の考え方で、工程を何度も繰り返していきます。
イテレーションごとに計画や目標を設定して、短いスパンで工程を回しながら1回のイテレーションで発生した課題や結果をすぐに次に生かします。仕様変更を繰り返しながら柔軟でスピーディーな開発を行うことが可能です。ただし、経験豊富な管理者でないとこのやり方で問題なくプロジェクトを進めることは難しいでしょう。
参考:アジャイル開発とは? 特徴とメリット・デメリット、スクラムまで徹底解説/Monstarlab Blog
日本企業でよくあるプロジェクト管理を成功させる5つのコツ
ここからは、日本企業でプロジェクト管理を成功させるためのコツについてご説明します。
- プロジェクト管理を成功させるコツ①|「PMBOK」に目を通す
- プロジェクト管理を成功させるコツ②|管理ツールを活用する
- プロジェクト管理を成功させるコツ③|マイルストーンを設定する
- プロジェクト管理を成功させるコツ④|リスクマネジメントを行う
- プロジェクト管理を成功させるコツ⑤|コミュニケーションを重視する
プロジェクト管理を成功させるコツ①|「PMBOK」に目を通す
「PMBOK」とは、プロジェクト管理に関する知識をまとめた参考書のようなものです。PMBOKはプロジェクト管理の世界基準になっているため、日本だけでなくどの国でプロジェクト管理を行う際も活用できます。
なかには、プロジェクト管理者として採用する際にPMBOKの知識を求められる求人もあります。一通りおさえておくと、どんな国でもプロジェクト管理作業を行う際に役立つでしょう。
参考:PMBOKとは?プロジェクト達成のための世界標準知識を学ぼう/インターネットアカデミー
プロジェクト管理を成功させるコツ②|管理ツールを活用する
プロジェクト管理をスムーズに行うために、管理ツールを積極的に活用しましょう。進捗管理、チームメンバーとの情報共有、ファイル共有、勤怠管理など、プロジェクト管理者が必要な機能が一通りそろっているツールがおすすめです。Excelなどを使って手動で管理するとミスや漏れが発生しやすく、時間がかかってしまいます。管理ツールを活用すれば管理業務の効率アップが期待できます。
プロジェクト管理を成功させるコツ③|マイルストーンを設定する
プロジェクト管理を行う際は、常にマイルストーンを意識することが大事です。作業全体の期限だけでなく途中で方向性を確認するなど、細かくマイルストーンを設定すると進捗が遅延しにくく作業の確認にもなります。ちょっとした質問の回答や資料の提出などにも具体的な期限を設けると、放置されにくくなるでしょう。
参考:マイルストーンとは?意味や使い方を解説!中間目標の設定でプロジェクトを成功させる!/Jootoマガジン
プロジェクト管理を成功させるコツ④|リスクマネジメントを行う
プロジェクト管理者にとって、リスクマネジメントは非常に重要です。たとえば、スケジュールがひっ迫している場合などは、他部署から人員を回してもらえるように調整しておくなどの対応が求められます。何が起きても対処できるように、準備しておきましょう。
参考:プロジェクトにおけるリスク管理とは?手法やプロセスについて解説します/Jootoマガジン
プロジェクト管理を成功させるコツ⑤|コミュニケーションを重視する
プロジェクト管理を成功するためには、チームメンバーとの情報共有やコミュニケーションが欠かせません。メンバーからの報告を待つだけではなく、管理者の方から積極的にコミュニケーションをとることが大切です。
メンバーが問題を抱えたまま言い出せない雰囲気では、問題が大きくなってから発覚してしまい被害が甚大になる可能性もあります。メンバーが手を上げたらさっと話ができるように、日頃からコミュニケーションをとっておきましょう。
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本記事では、日本のIT企業でよくあるプロジェクト管理の流れ、よく使われるやり方、日本でプロジェクト管理を成功させるためのコツについて解説しました。プロジェクト管理の仕事は、プロジェクトを成功させるためにとても重要な要素です。日本流のやり方を知っておくことで、日本企業でプロジェクト管理をスムーズに進められるでしょう。
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