ヨーロッパ出身の方が日本で仕事をする際、給料の違いや労働環境の違いなどの待遇面の違いが気になるかもしれません。そこで今回の記事では、ヨーロッパと日本における仕事の待遇の違いについて解説します。給与や労働時間の違いを細かく紹介するので、日本での仕事に不安・疑問を抱える場合はぜひチェックしてみてください。
海外出身の人が日本で仕事をする際に知っておくべきことについても、併せて解説しています。この記事を参考に、仕事待遇面の違いを理解し入社後に感じるギャップを抑えましょう。日本で高待遇の仕事を見つけたい人は、ハイキャリア外国籍エンジニアのための転職エージェントである『G Talent』をご活用ください。
Contents
ヨーロッパと日本の仕事における待遇の違い|給与
仕事の待遇で重要なのは、給与面ではないでしょうか。ヨーロッパと日本では、賃金制度に以下のような違いがあります。
ヨーロッパ | 産業別に賃金率が設定され、正規・非正規に関わらず同じ賃金率が適用される(同一労働同一賃金) |
日本 | 企業によって賃金制度の詳細が異なる |
参考:海外での同一労働同一賃金とは?海外の歴史や課題と日本との違い/mitsucari
ここからは、仕事の待遇で重要なエンジニアに特化したヨーロッパと日本の平均給与の違いを見ていきましょう。
日本企業のエンジニア関連の平均給与|日本の給与待遇
経済産業省が発表した「我が国におけるIT人材の動向」によると、日本の30代のエンジニアの平均給与は526万円です。日本全体の平均給与は約443万円なので、エンジニアは国内平均よりも高額な報酬を得られる職業と言えます。
ヨーロッパ企業のエンジニア関連の平均給与|ヨーロッパの給与待遇
ヨーロッパの企業で働くエンジニア関連の平均給与は約606万円です。日本のエンジニアと比較すると、ヨーロッパの方が平均的に80万円程度高い報酬を得られます。ただし、平均給与は国によっても異なり、今回はフランスの平均給与を紹介しています。
参考:Engineering Average Salaries in France 2024
ヨーロッパと日本の仕事における待遇の違い|労働条件
ヨーロッパと日本の仕事の待遇について、以下の4つの労働条件で比較してみましょう。
- 仕事における待遇の違い①|労働時間
- 仕事における待遇の違い②|仕事で求められること
- 仕事における待遇の違い③|昇格と昇給
- 仕事における待遇の違い④|福利厚生
仕事における待遇の違い①|労働時間
ヨーロッパと日本では、労働時間に以下のような違いがあります。
ヨーロッパ | 1,566時間/年 |
日本 | 1,607時間/年 |
ヨーロッパの場合定時退社が慣例化されており、国によっては労働時間が法律で厳しく取り締まられています。一方、日本は一人当たりの業務量が多いほか、残業が美徳とされる風土もあるためヨーロッパ各国の労働時間より長いです。
しかし、近年の日本は労働観が変化しており「時間より質」にシフトしています。政府主導による「働き方改革」も進められているため、日本の労働時間は世界基準に近づく可能性もあります。
仕事における待遇の違い②|仕事で求められること
ヨーロッパと日本において、仕事で求められること項目別に比較してみましょう。
ヨーロッパ | 日本 | |
チームワーク | ・個々のスキルが優先 ・利益を追求できるか | ・調和を優先 ・チーム内でうまく立ち回れるか |
カスタマーサービス | ・現場至上主義 ・個人の主張や考え方でサービスを提供する | ・社内ルールに準じる ・全従業員が同じレベルのサービスを提供する |
リーダーシップ | ・強いリーダー像 ・改革や変化が求められる | ・温厚な人材 ・チームメンバーに合わせた意思決定が求められる |
ヨーロッパと日本では労働観が根本的に異なり、ヨーロッパは「個」、日本は「和」というイメージです。ヨーロッパは個人のスキルや主張を重んじており、仕事の質を優先して取り組みます。
日本では効率性も大切にしながら、個人の利益よりもチーム全体で足並みを揃えながら仕事に取り組むことが重要視されます。そのため、日本で仕事をする際は「個」で動きすぎずチームワークを大切にしましょう。
参考:【日本の常識は世界の非常識?】ヨーロッパとの比較で見えてきた日本企業の強みと課題/リクナビNEXTジャーナル
仕事における待遇の違い③|昇格と昇給
ヨーロッパと日本には、昇格と昇給のプロセスにも違いがあります。ヨーロッパはジョブ型雇用、日本は無限定型雇用という働き方の違いがあるため、昇格と昇給といった待遇にも違いが生まれるのです。それぞれの特徴を、詳しく見ていきましょう。
ヨーロッパのジョブ型雇用の特徴
- 人のスキルに見合った仕事や役職に就く
- 昇格するには管理職の卵(エリート)として入社する必要がある
- エリートとして入社すると結果を出すことでスピーディーに昇格・昇給できる
ジョブ型雇用の場合、同じ仕事を長く続けても昇格できるとは限りません。抜擢や入れ替えなどの例外的なケースはあるものの、キャリアの入り口から出口まで昇格・昇給できない可能性も高いです。しかし、エリートとして入社できた場合は幅広い職務経験の機会や昇格・昇給のチャンスを与えられます。
日本の無限定型雇用の特徴
- 入社時は簡単な仕事からスタート
- 年齢や実績に応じて昇格・昇給の可能性がある
- 誰でも役職に就けるチャンスはあるものの若年層が管理職に就くのは難しい
無限定型雇用の場合、キャリアの入り口は一つですが経験や実績に応じた昇格・昇給のチャンスがあります。そのため、将来的なキャリアアップをモチベーションに働けるというのが魅力です。ただし、昇格・昇給までには時間がかかるため、中長期的にモチベーションを維持しなければなりません。
参考:欧米には日本人の知らない2つの世界がある/日経ビジネス
仕事における待遇の違い④|福利厚生
福利厚生についてはヨーロッパと日本どちらも充実しており、待遇には大きな違いはありません。ヨーロッパ・日本どちらでも、基本的に社会保険はもちろん有給休暇や時間外労働手当などが支給されます。
ただし、日本の場合は法律で義務付けられる「法定福利厚生」と任意の「法定外福利厚生」の2種類があります。法定外福利厚生は任意で制度化できるため、企業によって特色はさまざまです。
たとえば、通勤・住宅手当や文化・レクリエーション手当などは日本ならではの福利厚生と言えます。日本での就職を検討している場合は、法定外福利厚生の充実度もチェックしてみましょう。特に通勤・住宅手当は、生活の支出に係る重要なポイントです。正規・非正規で支給の有無が変わるのか、支給される場合は何%受け取れるのか、などを確認しましょう。
参考:福利厚生とは?種類や導入のメリットを解説/NTTビジネスアソシエ東日本
ヨーロッパ出身のエンジニアが日本企業の待遇面で知っておくべきポイント
ヨーロッパ出身のエンジニアが日本企業で働く際、知っておくべき待遇面のポイントを3つ見ていきましょう。すべてに納得する必要はありませんが、頭に入れておくと入社後のギャップでストレスを感じにくくなります。
- 理解すべき待遇の違い①|結果よりも勤勉さを優先する傾向にある
- 理解すべき待遇の違い②|年功序列のシステムを理解する
- 理解すべき待遇の違い③|時間感覚や残業に対して厳しい
理解すべき待遇の違い①|結果よりも勤勉さを優先する傾向にある
日本企業では、仕事の「結果」よりも「勤勉さ」が優先される傾向にあります。日本企業における勤勉とは、具体的に以下の状態が挙げられます。
- 与えられた有給は最低限の消化で留める
- プライベートよりも仕事を優先する
- 残業を前提とした仕事量をこなす
- 始業時間の15~30分前に出社する
有給休暇については、政府主導の働き方改革により年ごとに最低5日の取得が義務付けられました。しかし、プライベートよりも仕事を優先する日本人の労働観では企業側が規定する有給休暇をすべて取得できないケースもあります。
さらに日本人の労働時間は長いだけでなく、「上司が残っている」「しっかり仕事をしないと他の人に申し訳ない」といった意識もあることから残業や早出出勤などが慣例化している企業もあります。
会社内の規則や法律に違反していなければ、有給の100%消化や定時退社などを行っても問題ありません。しかし、外国人が日本企業で働くと労働観に対するギャップを感じる可能性はあります。
参考:日本企業文化の特徴は?海外文化との比較で徹底解説/スキルナビ
理解すべき待遇の違い②|年功序列のシステムを理解する
年功序列は日本的雇用の代表例で、勤続年数や年齢に応じて昇格・昇給するシステムです。仕事の成果に関わらず報酬を得られるため、成果主義の外国人にとっては違和感のある部分かもしれません。年功序列は、以下の背景やメリットから導入されました。
- 勤続年数の長さは経験や実績を積み重ねているため
- 勤続年数が長ければ会社への貢献度が高いと判断されるため
- 終身雇用制度を前提としているため
年功序列は、長く勤めた人材がキャリアアップする仕組みです。馴染みのある人が上司となれば、部署内で良好な関係を保ちやすくなります。若手社員は上司を見て成長するため、「部下に仕事を教えるのは当然」という意識が芽生えれば、自然と教育環境を整えられるのもメリットです。将来的なキャリアをイメージすることにもつながり、若手社員のモチベーション維持にも期待できます。
参考:年功序列とはどんな制度?生まれた背景やメリット・デメリットも解説/スタンバイplus
理解すべき待遇の違い③|時間感覚や残業に対して厳しい
日本の企業で働く場合、始業時間は必ず守りましょう。社風によって多少の違いはあるものの、遅刻の頻度が多ければ評価を下げられる可能性が高いです。もちろん、打ち合わせや会議など日々の仕事でも時間厳守が求められます。
さらに、日本では残業が習慣化されている一面もありプライベートより仕事が優先されがちです。日本でも欧米諸国のような「ライフワークバランス重視」の考え方は定着しつつありますが、繁忙期には残業をお願いされる可能性があることも理解しておきましょう。
ただし、日本は以下のように労働時間が法律で定められているため、この時間を超えて労働を強いられる場合は上司や人事部に訴えかけてください。
- 原則として1日8時間、1週間で40時間を超えてはならない
- 超過する場合は、6時間超で45分、8時間超で1時間以上の休憩が必要
- 残業時間の上限は、原則として月45時間、年間360時間
ヨーロッパと日本の待遇の違いを理解し後悔のない転職をしよう!
ヨーロッパと日本では、給与・労働時間といった仕事の待遇に違いがあります。特に労働時間への感覚は大きく違い、日本では残業や出勤時間に対する管理が厳しく行われます。
これらは労働感の違いが根本的な要因なので、日本企業で働く際は「日本人の仕事に対する考え方」を理解しておきましょう。無理に合わせる必要はありませんが、理解しておかないと入社後のギャップでストレスを感じてしまうかもしれません。
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