ヨーロッパ企業と日本企業では、求人における労働環境や雇用形態だけでなく給与体系にも違いが見られます。グローバルな働き方を求めている方にとって、給与は企業選びに欠かせない重要なポイントの一つですよ。ヨーロッパ企業と日本企業の求人における違いを知ることで、企業選びがスムーズになるでしょう。
この記事では、ヨーロッパ企業と日本企業の給与の違いについて解説していきます。それぞれの企業について漠然としたイメージしか持ち合わせていないと、内定後に後悔することになりかねません。ヨーロッパ企業と日本企業どちらの求人に応募すべきか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。国籍関わらず給与の条件が高い求人を見つけたい方は、グローバルに特化した転職エージェントの『G Talent』をご利用ください。
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ヨーロッパ企業と日本企業の給与の違い|求人に応募するならどっち?
ヨーロッパ企業と日本の企業の給与は、下記のとおり大きな違いがあります。
<ヨーロッパ諸国と日本の平均給与の違い(2020年)>
国名 | 平均年収(ドル) |
---|---|
アイスランド | 67,488 |
ルクセンブルク | 65,854 |
スイス | 64,824 |
オランダ | 58,828 |
デンマーク | 58,430 |
ノルウェー | 55,780 |
ベルギー | 54,327 |
ドイツ | 53,745 |
オーストリア | 53,132 |
アイルランド | 49,474 |
イギリス | 47,147 |
スウェーデン | 47,020 |
フィンランド | 46,230 |
フランス | 45,581 |
スロベニア | 41,445 |
日本 | 38,515 |
スペイン | 37,922 |
イタリア | 37,769 |
ポーランド | 32,527 |
リトアニア | 31,811 |
エストニア | 30,720 |
チェコ | 29,885 |
ラトビア | 29,876 |
ポルトガル | 28,410 |
ギリシャ | 27,207 |
ハンガリー | 25,409 |
スロバキア | 23,619 |
上記の表は、OECD加盟国のうちヨーロッパ諸国と日本の平均年収(ドル)の違いを表したものです。ヨーロッパ諸国のうちもっとも平均年収が高いのがアイスランドであり、日本のおよそ2倍の給与がもらえることがわかります。
一方でもっとも平均年収が低いのはスロバキアであり、日本とはおよそ15,000ドルの違いがあります。ヨーロッパ企業と一口に言っても、このように給与条件は国によってさまざまです。しかし、日本よりも平均年収が高い国が多い傾向にあるでしょう。
参考:世界の最低賃金ランキング(2020年版) | 「平均年収」「最低年収」「最低時給」から解説/Digima
ヨーロッパと比較すると日本の給与は低い
上記のとおり、日本の給与はヨーロッパ諸国よりも低めです。日本の平均年収が低い理由は、約20年もの間給与が上がっていないことに深く関係していると予測できます。
年 | 給与(千円) | 対前年増減率(%) |
---|---|---|
平成13(2001)年 | 305.8 | 1.2 |
平成14(2002)年 | 302.6 | -1.0 |
平成15(2003)年 | 302.1 | -0.2 |
平成16(2004)年 | 301.6 | -0.2 |
平成17(2005)年 | 302.0 | 0.1 |
平成18(2006)年 | 301.8 | -0.1 |
平成19(2007)年 | 301.1 | -0.2 |
平成20(2008)年 | 299.1 | -0.7 |
平成21(2009)年 | 294.5 | -1.5 |
平成22(2010)年 | 296.2 | 0.6 |
平成23(2011)年 | 296.8 | 0.2 |
平成24(2012)年 | 297.7 | 0.3 |
平成25(2013)年 | 295.7 | -0.7 |
平成26(2014)年 | 299.6 | 1.3 |
平成27(2015)年 | 304.0 | 1.5 |
平成28(2016)年 | 304.0 | 0.0 |
平成29(2017)年 | 304.3 | 0.1 |
平成30(2018)年 | 306.2 | 0.6 |
令和元(2019)年 | 307.7 | 0.5 |
令和2(2020)年 | 307.7 | 0.6 |
令和3(2021)年 | 307.4 | -0.1 |
厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査の概況」によると、およそ20年前の平成13年から令和3年まで給与が2,000円しか増加していないことがわかります。
日本の労働生産性が低いことも、給与の低さに大きく関わっているでしょう。労働生産性とは、従業員1人あたりもしくは1時間で生産できる成果を現した数値です。労働生産性が高い企業ほど高い給与を支払えますが、IT化の遅れや企業規模の小ささなどの要因などにより日本の労働生産性は低く留まっています。
日本人の労働生産性は給与と同様に約20年前からほぼ上がっておらず、OECD加盟国中22位です。これらの要因が、日本の給与の低さに関係していると考えられています。
日本企業と比較したヨーロッパ企業の特徴|求人に応募するならどっち?
日本企業とヨーロッパ企業とでは、働き方や労働時間などの特徴に違いがあります。日本企業と違いがあるヨーロッパ企業の特徴は、以下の5つです。
- ヨーロッパ企業と日本企業の違い①|ワークライフバランス
- ヨーロッパ企業と日本企業の違い②|労働時間
- ヨーロッパ企業と日本企業の違い③|チームワーク
- ヨーロッパ企業と日本企業の違い④|女性管理職の割合
- ヨーロッパ企業と日本企業の違い⑤|成果主義
ヨーロッパ企業と日本企業の違い①|ワークライフバランス
ヨーロッパ企業では、日本企業と違いワークライフバランスが重視されており、仕事と私生活を両立しやすい傾向が強いです。アメリカのソフトウェア会社の調査によると、仕事と生活のバランスがもっとも優れた都市のランキングの上位をノルウェーやスイスなどのヨーロッパ諸国が占めており、ヨーロッパはワークライフバランスの先進国であることがわかります。
たとえばノルウェーでは男性の約9割が育児休業を取得しており、女性の社会進出も日本より進んでいます。ヨーロッパ31ヶ国における約3万人を対象にしたアンケート調査では、ノルウェーで働く9割の人がワークライフバランスに満足していると回答しており、仕事と家庭のどちらも大切にできる仕組みが整っていることが証明されているのも事実です。
日本ではまだまだワークライフバランスが重視されているとは言えず、OECD(経済協力開発機構)加盟国のなかでも下位ランクに位置しています。ワークライフバランスを充実させることは労働者だけでなく、「労働生産性の向上」「離職の防止」など企業側にもメリットがあるため、働き方を柔軟に最適化することが求められています。
参考:仕事と生活のバランスが最も優れた都市ランキング”の2022年版が発表/HYPEBEAST
ヨーロッパ企業と日本企業の違い②|労働時間
日本企業では1日に8時間・1週間に40時間を超えて労働してはいけないという労働時間に関する制度が定められていますが、サービス残業などが横行しており、時間外労働が多い傾向にあります。
一方でヨーロッパ企業は日本と違い、長時間労働をする人の割合が低く従業員が働きやすい環境が整っています。ノルウェー、スウェーデン、フィンランドでは週48時間超の長時間労働をする人の割合が10%以下であり、フランスやルクセンブルク、オランダ、ドイツ、エストニアなどでも同様に長時間労働者の割合は低めです。
ラトビア、スウェーデン、フィンランドでは就業開始時間・終業時間の変更制度、代休制度などの制度を導入している企業が多く、従業員のワークライフバランスを図るための試みが浸透しています。労働時間が短いということは、自分自身を見つめなおし私生活を充実させる時間が多いということです。北欧諸国及びスイスでは女性は毎週15時間以上、男性も週に7時間以上の時間を育児に費やしており、会社での拘束時間が短いぶん子育てに当てられる時間も増やせると言えます。
参考:■□ カエル! ジャパン通信 Vol.8 □■/「仕事と生活の調和」推進サイト
ヨーロッパ企業と日本企業の違い③|チームワーク
ヨーロッパ企業では、チームで仕事をするというよりも個人の考えを重視する個人主義の考えが浸透しています。個人の力が評価されるため能力主義とも言われており、自分自身の仕事が終われば帰宅する人がほとんどです。人間関係のわずらわしさがないのがヨーロッパ企業の特徴と言えるでしょう。
日本企業ではチームワークが重視されており、個人が大きな成果を出すよりもチーム全体でやり遂げることが大切だと考えられています。そのため仕事を分担したり協力し合ったりすることは決して珍しい光景ではありません。一緒に残業してまで仕事を終わらせる光景を見ることもあるでしょう。
参考:「長時間労働がない」ドイツと日本の致命的な差/東洋経済オンライン
ヨーロッパ企業と日本企業の違い④|女性管理職の割合
日本企業と違い、ヨーロッパ企業では女性管理職の割合が多く女性の社会進出が進んでいます。たとえばワークライフバランス先進国であるノルウェーは労働者の47.2%が女性であり、民間企業の取締役会における女性比率はおよそ25%です。
2003年時点のノルウェーでは民間企業の取締役会における女性比率が8.5%程度でしたが、法規制の導入によって2007年に約25%まで高まりました。日本でも女性管理者の割合は近年上昇傾向にありますが、平成30(2018)年の時点で係長級18.3%,課長級11.2%,部長級6.6%でありヨーロッパ企業に追いつく数値ではありません。
ヨーロッパ企業と日本企業の違い⑤|リーダーは成果が求められる
ヨーロッパでは管理職になると成果が求められ、ハードワークを行っているケースも少なくありません。多くのヨーロッパ企業は労働時間が少なくワークライフバランスが重視されていますが、成果主義や能力主義の浸透により、リーダーになると残業をして仕事を終わらせる人もいるようです。
一方日本は、リーダーだけでなく全社員がハードワークになりがちです。企業によっては、上司より部下の方が残業などが多く、ハードワークになることもあります。
参考:欧米には日本人の知らない二つの世界がある/Human Capital
ヨーロッパ企業と日本企業のメリットの違い|求人に応募するならどっち?
ヨーロッパ企業と日本企業は特徴が異なるため、メリットにも違いがあります。ここからはヨーロッパ企業と日本企業のそれぞれのメリットについて見ていきましょう。
ヨーロッパ企業のメリット|日本企業との違い
ヨーロッパ企業は日本とさまざまな点で違いがあり、給与や働き方の面で以下のようなメリットが得られます。
- 日本企業よりも給与が高くなりやすい
- 残業が少なく休暇を取りやすい
- 個人の考えが尊重される
- 女性が働きやすい環境が整っている
ヨーロッパ企業の方が日本企業よりも給与が高く、平均年収にも大きな差が見られます。なかにはスペインやイタリアなど平均年収が日本より低い国もありますが、アイスランドやルクセンブルクなら2倍近い給与をもらえる可能性があるでしょう。
法律によって労働時間が制限されている国が多いため、残業が少なく休暇を取りやすいこともメリットです。仕事上ではチームよりも個人の考えが尊重されるため、日本と違い面倒な人間関係に悩まされる心配はあまりありません。多くのヨーロッパ企業では女性の管理職も増えているため、女性が生涯を通して働きやすい環境が整っていることもヨーロッパ企業の特徴です。
参考:海外のお給料事情を調査!世界の平均年収ランキング、日本は何位?/mymo
日本企業のメリット|ヨーロッパ企業との違い
ヨーロッパ企業とさまざまな違いがある日本企業で働くメリットには、以下の点が挙げられます。
- 給与が安定している
- 解雇されにくい
- 新人の教育環境が整っている
- チームで仕事ができる
日本企業の平均給与は2020年の時点で38,515ドルと比較的少ないですが、固定給もしくは月給制であり住宅手当や退職金がもらえる企業も数多くあります。解雇されにくく長く務めるほど昇格・昇給が期待できるため、ひとつの企業で長く勤めたいという方は大きなメリットです。
即戦力が求められる海外の外資系企業とは違い「新卒採用」という見込みのある人材の採用が一般的である日本企業では、新人の教育環境が整っています。基本はチームで仕事をするため、一人では困難な目標や業務にもチャレンジできます。
ヨーロッパ企業と日本企業のメリットにはさまざまな違いがあり、安定した環境で長期間働きたい人には日本企業が適しています。
参考:日系・外資系企業の違いやメリット・デメリットとは/America-Intern.com
日本で給与など条件の良い求人を見つける方法
ヨーロッパ企業と日本企業には、特徴やメリットにさまざまな違いがあることがわかりました。自分にあった企業を把握した後は、実際に求人を探していきましょう。条件の良い求人を見つける方法には、以下の5つが挙げられます。
- 条件の良い求人を見つける方法①|希望の条件を絞る
- 条件の良い求人を見つける方法②|自己分析を行う
- 条件の良い求人を見つける方法③|求人の視野を広げる
- 条件の良い求人を見つける方法④|転職エージェントに登録する
- 条件の良い求人を見つける方法⑤|ビジネスSNSを活用する
条件の良い求人を見つける方法①|希望の条件を絞る
求人にはさまざまな条件があり、就業時間や給与、休みの日数や家からの距離などすべてを満たす条件の求人があればベストです。しかし、希望の条件をすべて網羅する求人は少なく、条件にこだわっていてはなかなか次のステップに進むことができません。
就職・転職を検討している場合、まずは希望の条件を絞りましょう。転職の場合は、以前の会社を辞めた理由から譲れない条件を決めるのもおすすめです。
参考:良い求人の探し方がわからない!転職先探しの方法と失敗しないコツ/ミライトーチ Media
条件の良い求人を見つける方法②|自己分析を行う
自己分析を行い自分の得意分野や経験などを洗い出すことで、条件の良い求人が見つかりやすいです。良い条件の求人は、人によって定義が異なります。今までのキャリアを振り返りどんなときに喜びを感じたかを知ることで、自分にとって条件の良い求人を見つけることができるのです。
参考:良い仕事の見つけ方。自己分析や働きやすい条件、業界を知ろう/スタンバイplus
条件の良い求人を見つける方法③|求人の視野を広げる
希望する業種や職種に固執せず、求人の幅を広げるのも良い求人を見つけるポイントの一つです。転職市場によっては、希望する業種や職種の求人が少ないときもあります。しかし、今までのキャリアや経験によっては、希望している分野以外でも活躍できるかもしれません。そのためにも、求人の視野を広げてみましょう。
参考:失敗しない求人情報の探し方!転職活動のコツを紹介/じょぶる
条件の良い求人を見つける方法④|転職エージェントに登録する
条件の良い求人を探すのに最もおすすめの方法が、転職エージェントの活用です。転職エージェントとは、自分自身にあった求人をプロのキャリアアドバイザーが提案してくれる求人サービスです。上記で紹介した3つのポイントを行いながら転職エージェントも活用することで、自分にあった好条件の求人を見つけることができるでしょう。
ヨーロッパ企業などのグローバル企業にチャレンジしたい方は、グローバルに特化した転職エージェントがおすすめです。『G Talent』はハイキャリア外国籍エンジニアのための転職エージェントであり、さまざまな好条件の求人を提案してくれます。ビザのサポートや給与交渉なども行ってくれるため、慣れない日本で活躍したい方に特におすすめです。
条件の良い求人を見つける方法⑤|ビジネスSNSを活用する
転職エージェントだけでなく、企業の求人担当者と直接やりとりを行うダイレクトリクルーティングという手法でも求人を見つけることができます。ダイレクトリクルーティングでは、主にLinkedinやWantedlyといったビジネス系のSNSが使われます。ビジネスSNSを使うことで直接やりとりできるだけでなく、企業の新しい情報をすぐに知ることができるのもメリットです。
参考:ビジネスSNSを活用した転職の方法/LHH転職エージェント
ヨーロッパ企業と日本企業の給与の違いを知ってから求人に応募しよう
ヨーロッパ企業と日本企業とでは、平均給与に大きな違いがあります。少しでも高い給与を得たいと考えているのなら、下調べをした上で求人に応募しましょう。外国人ITエンジニア専門の転職エージェント『G Talent』にはさまざまなグローバル企業が集まっているため、ヨーロッパ企業に特化した就職活動も可能です。