ITエンジニアが日本で仕事するために必要なビザについて解説

海外で長期滞在する場合や、海外で就労する際に必ず必要なビザは、慣れていないと複雑な手続きに戸惑うことがあるでしょう。また不備があると不法滞在・不法労働になり、不利益を被ってしまいます。

本記事では、ITエンジニアが日本で仕事をするために必要なビザについて解説します。日本での就職を考えている人や就職にあたりビザの変更が必要な人は、ぜひ参考にしてください。グローバルのIT企業が集まる転職エージェント『G Talentは、仕事探しだけでなくビザのサポートまで受けることができます。

ビザと在留資格の違いは?

パスポートと就労ビザ

企業によってはビザと在留資格を同じ意味で使うことがありますが、厳密には別物です。混合してしまうと就職に不利益を被ることもあるため、それぞれの違いを良く理解しておきましょう。

本項目では、ビザと在留資格の違いについて解説します。いま一度、自分の持っているビザや在留資格と照らし合わせて確認してみましょう。

ビザとは

ビザ(査証)とは、海外にある日本大使館・領事館が発行する「日本への入国を許可する書類」です。海外の日本大使館・領事館で必要な書類を提出し、審査を行った結果「所有しているパスポートが有効であり、日本への入国に支障がない外国人」と判断された場合に発行されます。

参考:出入国在留管理庁/きっずるーむ法務省

在留資格とは

在留資格とは、日本に入国しようとする外国人が、日本で行う予定の活動に問題がなく条件に適していることを証明するために必要な資格です。日本の法務省入国管理局が管理し、現在は38種類の在留資格が存在します。「在留カード」は、在資格を証明するためのカードを指します。

また、企業によっては在留資格のことを「就労ビザ」と呼ぶことがあります。就労ビザというのは、在留資格の通称で、二つは同じものを示していると考えて良いでしょう。

参考:在留資格とは/東京入管・永住、帰化申請サポート室

外国人ITエンジニアが日本で仕事するための就労ビザ

書類を見ている男性

日本に適法で在留するためには、きちんと日本から発行された「在留資格(就労ビザ)」を取得する必要があります。また、ITエンジニアとして働くためのビザを「エンジニアビザ」と呼ぶこともあります。

外国人ITエンジニアが日本で仕事をするための就労ビザについて解説します。

就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」の取得要件

外国人が日本でITエンジニアとして仕事をするためには、一般的に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得して勤務することになります。日本で「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得するには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 従事しようとする業務について、必要な技術・知識に係る科目を選考して大学を卒業していること
    卒業した大学は、日本だけでなく海外も該当します。また、日本の専門学校卒業者で「専門士」の学位を有している人も、これに該当します。
  2. 従事しようとしている業務について、10年以上の実務経験を有すること
    1の基準を満たせない場合であっても、10年以上の実務経験があれば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得できます。なお、10年の期間には国内外の学校で情報処理などの専門知識について学んだ期間も含まれます。ただし、日本での義務教育期間は含まれず、留学生のアルバイトなども対象外です。
  3. 告示で定められた情報処理に関する試験合格者・資格取得者

【日本の試験】
イ 情報処理の促進に関する法律(昭和四十五年法律第九十号)に基づき経済産業大臣が実施する情報処理安全確保支援士試験
ロ 情報処理の促進に関する法律に基づき経済産業大臣が実施する情報処理技術者試験のうち次に掲げるもの

  • (1) ITストラテジスト試験
  • (2) システムアーキテクト試験
  • (3) プロジェクトマネージャ試験
  • (4) ネットワークスペシャリスト試験
  • (5) データベーススペシャリスト試験
  • (6) エンベデッドシステムスペシャリスト試験
  • (7) ITサービスマネージャ試験
  • (8) システム監査技術者試験
  • (9) 応用情報技術者試験
  •  (10) 基本情報技術者試験
  •  (11) 情報セキュリティマネジメント試験

ハ 通商産業大臣又は経済産業大臣が実施した情報処理技術者試験で次に掲げるもの

  • (1) 第一種情報処理技術者認定試験
  • (2) 第二種情報処理技術者認定試験
  • (3) 第一種情報処理技術者試験
  • (4) 第二種情報処理技術者試験
  • (5) 特種情報処理技術者試験
  • (6) 情報処理システム監査技術者試験
  • (7) オンライン情報処理技術者試験
  • (8) ネットワークスペシャリスト試験
  • (9) システム運用管理エンジニア試験
  •  (10) プロダクションエンジニア試験
  •  (11) データベーススペシャリスト試験
  •  (12) マイコン応用システムエンジニア試験
  •  (13) システムアナリスト試験
  •  (14) システム監査技術者試験
  •  (15) アプリケーションエンジニア試験
  •  (16) プロジェクトマネージャ試験
  •  (17) 上級システムアドミニストレータ試験
  •  (18) ソフトウェア開発技術者試験
  •  (19) テクニカルエンジニア(ネットワーク)試験
  •  (20) テクニカルエンジニア(データベース)試験
  •  (21) テクニカルエンジニア(システム管理)試験
  •  (22) テクニカルエンジニア(エンベデッドシステム)試験
  •  (23) テクニカルエンジニア(情報セキュリティ)試験
  •  (24) 情報セキュリティアドミニストレータ試験
  •  (25) 情報セキュリティスペシャリスト試験

【中国の試験】
イ 中国工業和信息化部教育与考試中心が実施する試験のうち次に掲げるもの

  • (1) 系統分析師(システム・アナリスト)
  • (2) 信息系統項目管理師(インフォメーション・システム・プロジェクト・マネージャ)
  • (3) 系統架構設計師(システム・アーキテクト)
  • (4) 軟件設計師(ソフトウェア設計エンジニア)
  • (5) 網絡工程師(ネットワーク・エンジニア)
  • (6) 数据庫系統工程師(データベース・システム・エンジニア)
  • (7) 程序員(プログラマ)

ロ 中国信息産業部電子教育中心又は中国工業和信息化部電子教育与考試中心が実施した試験のうち次に掲げるもの

  • (1) 系統分析員(システム・アナリスト)
  • (2) 高級程序員(ソフトウェア・エンジニア)
  • (3) 系統分析師(システム・アナリスト)
  • (4) 軟件設計師(ソフトウェア設計エンジニア)
  • (5) 網絡工程師(ネットワーク・エンジニア)
  • (6) 数据庫系統工程師(データベース・システム・エンジニア)
  • (7) 程序員(プログラマ)

【フィリピンの試験】
イ フィリピン国家情報技術標準財団(PhilNITS)が実施する試験のうち次に掲げるもの

  • (1) 基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
  • (2) 応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験

ロ フィリピン・日本情報技術標準試験財団(JITSE Phil)が実施した基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験

【ベトナムの試験】
イ ハイテクインキュベーショントレーニングセンター(HITC)が実施する試験のうち次に掲げるもの

  • (1) 基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
  • (2) 応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験

ロ ベトナム情報技術試験訓練支援センター又はベトナム訓練試験センターが実施した試験のうち次に掲げるもの

  • (1) 基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
  • (2) ソフトウェア開発技術者(ソフトウェア・デザイン・アンド・ディベロップメント・エンジニア)試験
  • (3) 応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験

【ミャンマーにおけるミャンマーコンピュータ連盟(MCF)が実施する試験】
イ 基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
ロ 応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験

【台湾における財団法人資訊工業策進会(III)が実施した試験】
イ 軟体設計専業人員(ソフトウェア・デザイン・アンド・ディベロップメント・IT・エキスパート)試験
ロ 網路通訊専業人員(ネットワーク・コミュニケーション・IT・エキスパート)試験
ハ 資訊安全管理専業人員(インフォメーション・システム・セキュリティー・IT・エキスパート)試験

【マレーシアにおけるマルチメディア技術促進本部(METEOR)が実施する試験】
基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・プロフェッショナル)試験

【タイの試験】
イ 国立科学技術開発庁(NSTDA)が実施する試験のうち次に掲げるもの

  • (1) 基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
  • (2) 応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験

ロ 国立電子コンピュータ技術センター(NECTEC)が実施した基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験

【モンゴルにおけるモンゴル国立ITパーク(NITP)が実施する試験】
イ 基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
ロ 応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験

【バングラデシュにおけるバングラデシュコンピュータ評議会(BCC)が実施する試験】
イ 基本情報技術者(ファンダメンタル・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験
ロ 応用情報技術者(アプライド・インフォメーション・テクノロジー・エンジニア)試験

【シンガポールにおけるシンガポールコンピューターソサイエティ(SCS)が認定する試験】
サーティファイド・IT・プロジェクト・マネージャー(CITPM)

【韓国における韓国産業人力公団が認定する試験】
イ 情報処理技師(エンジニア・インフォメーション・プロセシング)
ロ 情報処理産業技師(インダストリアル・エンジニア・インフォメーション・プロセシング)

参考:IT技術者の在留資格/行政書士みなと国際事務所

日本におけるITエンジニアの就労ビザの申請方法

ビザの情報を確認する様子

ITエンジニアとして日本で働くためには、長期滞在や就労を目的とする適法なビザや資格が必要です。就業先が決まった場合は、滞在や就労に不利益とならないよう余裕を持って申請しましょう。

これから入国する人・すでに入国している人の申請方法を詳しく解説します。

ITエンジニアの就労ビザを新規で申請をする手順

これから日本に入国しようとしている人が、ITエンジニアが在留資格(就労ビザ)を申請する手順は以下のとおりです。

  1. 在留資格認定書を申請する
    在留資格(就労ビザ)の申請には、「在留資格認定書」という書類が必要になります。日本国内の地方出入国在留管理局の窓口で交付申請を受け付けているため、就業予定の会社職員に代理申請してもらいましょう。
  2. 出入国在留管理庁における審査・交付
    申請した内容に問題がなく、日本への上陸と就業条件に適していると判断されると、在留資格認定証明書が発行されます。万が一不交付となった場合でも、不服申し立ての方法はありません。
  3. 日本大使館・領事館でビザの申請を行う
    在留資格認定証明書と、ビザ申請に必要な書類をそろえて、日本大使館・領事館でビザ発給申請を行います。必要書類は、この後にリストアップしまとめているので確認しましょう。

参考:手続きの流れは? 必要な申請書類は?/出入国在留管理庁

ITエンジニアが在留資格を就労ビザに切り替える申請をする手順

大阪出入口在留管理局

すでに日本へ入国して在留しようとしている人、在留期間の更新を行う人は、以下の手順で申請を進めます。

  1. 在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請をする
    地方出入国在留管理局の窓口で申請を行います。どちらの申請であっても、行おうとする活動に係る「ポイント計算表」と「ポイントを立証する資料など」を提出します。必要に応じで就業予定もしくは就業先に申請に必要な書類発行をお願いしましょう。
  2. 出入国在留管理庁における審査・変更や更新の許可
    審査におけるポイントは、以下のとおりです。
  • 行おうとする活動が高度外国人材としての活動であること
  • ポイント計算の結果が70点以上であること
  • 在留状況が良好であること

ポイント計算表の結果が70点未満であれば、他の要件を満たしていても不許可となります。

参考:在留期間更新許可申請 /出入国在留管理庁

日本におけるITエンジニアの就労ビザの申請は誰が行う?

書類を提出する様子

日本ですでに就業先が決まっていても、ビザや在留資格が発行されなければ日本で働くことはできません。しかし、難しい手続きを自分でできるのか不安に感じている人もいるのではないでしょうか。

ここでは、日本でITエンジニアとして働くための在留資格(就労ビザ)を申請できる人について解説します。

本人

原則として、在留資格の申請や変更・更新手続きは申請者本人が行います。複雑な手続きが必要なため、慣れない申請に関わる手続きに不安を感じる人は、転職・就職支援を行っているサービスを活用すると良いでしょう。もしくは、申請のサポートを行っている求人を探す方法もおすすめです。

代理人

申請人が海外にいる場合や、やむを得ない事情で申請に向かえない場合は、就業先の職員や弁護士・行政書士、親族又は同居人などが申請書類の提出などを行えます。ただし、代理申請には地方在留管理局長の承認が必要なため、誰でも行えるわけではありません。

参考:出入国審査・在留審査Q&A/出入国在留管理庁出入国審査・在留審査Q&A出入国審査・在留審査Q&A

日本におけるITエンジニアの就労ビザの申請に必要な書類

書類を記載する様子

日本でITエンジニアとして働く際に必要な在留資格(就労ビザ)の申請には、以下の書類が必要です。

  • 旅券
  • ビザ申請書1通(ロシア・CIS諸国・ジョージア人は2通)
  • 写真1葉(ロシア・CIS諸国・ジョージア人は2葉)
  • 在留資格認定証明書 原本および写し通

中国籍の人は以下の書類も準備します。

  • 戸口簿写し
  • 暫住証又は居住証明書(申請先の日本大使館又は総領事館の管轄区域内に本籍を有していない場合)

※申請者の国籍によっては、上記以外に必要とされる書類があるため、必ず自分で各領事館のホームページを確認しましょう。

参考:ビザ/外務省

日本におけるITエンジニアの就労ビザの取得までにかかる期間

パソコンを見ている女性

在留資格(就労ビザ)の申請に必要な「在留資格認定証明書」は、審査結果がでるまでに1~3ヶ月ほどかかります。就業開始に間に合うよう、企業と連絡を取りながら余裕を持って申請しましょう。

また、在留資格認定証明書の有効期間は発行より3ヶ月間です。在留資格認定証明書を受け取ったら、すぐに日本大使館・領事館でビザの手続きをしましょう。

参考:在留資格認定証明書とは?申請から入国までの流れを解説/ビザプロ

ITエンジニアが日本で仕事をするために「就労ビザ」をきちんと取得しよう!

ミーティングを行う外国人

せっかく日本での就業が決まっても、ビザに不備があれば就業はおろか入国できないこともあるでしょう。日本で仕事をするためには、きちんと在留資格(就労ビザ)を取得し、不法労働にならないよう注意しましょう。

日本での転職・就職を考えている方は、外国籍のエンジニアのための転職プラットフォームである 『G Talentの利用がおすすめです。掲載されている求人は年収800万円以上が40%を占めており、自分に合った仕事を見つけることができます。

ビザのサポートも受けることができるため、今回の記事で不安になった方はぜひご利用ください。気になる方は無料登録からスタートしましょう。